ギービヒ家の広間では、夜も更けたのに戻らないジークフリートの身を案じるグートルーネが眠れぬ時を過ごしております。グートルーネはブリュンヒルデの部屋にも声をかけますが、返事はありません。どうやら、ブリュンヒルデは何の用があるのか、ラインのほとりに出かけている様子でございます。
やがて角笛の音が響き、グンターの一行が帰館してまいります。
ジークフリートの安否を尋ねるグートルーネに、ハーゲンは「おまえの夫は強い猪の獲物となった」と答えます。
家臣たちに運ばれてきたジークフリートの遺体にすがりつき、泣き叫ぶグートルーネ。猪に殺されたことなど信じられず、激しく問い質すグートルーネに、グンターはジークフリートを殺したのがハーゲンであることを告げます。
開き直ったハーゲンは「ジークフリートの不実を罰したのだ」といい、アルベリヒの息子の権利として黄金の指環を要求いたします。「指環はグートルーネが相続する」というグンターとハーゲンは争い、ハーゲンは異父兄を一刀のもとに斬り捨ててしまいます。
邪魔者を消したハーゲンが、いよいよ指環をわがものにせんと手を出すと、死んだジークフリートの腕が拒否するように挙がり、さすがのハーゲンもたじろぎます。
そこへブリュンヒルデが現れ、「ラインの乙女たちの話を聞いてすべてを理解した、神性を失って愚かになっていた私は、かけがえのない人を指環の呪いのために死なせてしまった」と語ります。
ブリュンヒルデは家臣たちにライン河畔に薪を積み上げるように頼み、「ジークフリートほど誠実な人はいなかった、そしてまた同時にこの人ほどの裏切り者もいなかった。けれどもそれはすべてジークフリートの純粋さから出たこと。呪いの真の原因は神々の、ヴォータンの欲望にあったのだ」と語ります。
やがて薪が積み上がると、ブリュンヒルデはジークフリートの遺体から指環を抜き取り、自らの指にはめ、「愛する人の形見だけれど、すぐにラインの乙女たちの手に戻ることになるだろう」といい、遺体を薪の上に運ぶよう家臣たちに頼みます。
薪に火を点けると、ブリュンヒルデは「愛するジークフリートの待つ世界に行くのだ!」と叫び、愛馬グラーネにまたがって炎の中に飛び込みます。
炎が激しく燃え上がり、天上まで達すると、今度はライン河が増水し、その流れに乗ってラインの乙女たちが姿を現します。それを見たハーゲンは、「指環に近づくな!」と叫んで指環を奪おうとしますが、乙女たちに深みに引きずり込まれてしまいます。
指環はラインの乙女たちの手に戻り、天上を焼き尽くす炎の中で、神々の城ヴァルハラは崩壊していくのでございました。