シューマン/交響曲全集 (Schumann : The Complete Symphonies) |
ピアノ曲、歌曲の作曲家として一般に知られているローベルト・シューマンは、ベートーヴェンに始まる19世紀ドイツ・ロマン派交響曲の重要な作曲家でもありました。 ブラームスの登場以来、交響曲のジャンルでは、ややもすればベートーヴェンとブラームスの間の「つなぎ」のような扱いを受けてまいりましたシューマンではございますが、現在ではその独創性・創造性が再認識され、交響曲作家としての評価も確立されているようでございます。 シューマンは作曲家として出発した当初から、ベートーヴェンのあとを継ぐような、質の高い交響曲の創作を念願としておりました。その甲斐あって、30歳を過ぎてから発表された4つの交響曲は、いずれもドイツ・ロマン派の香り高い、非常に優れた作品となっております。
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シューマンの交響曲では、昔からオーケストレーションに問題が指摘され続けてきました。特に木管楽器の塗りつぶしたような書法は、音楽に明瞭さを欠く一種くすんだ響きを与え、それがシューマンの管弦楽法の欠点とされてまいりました。
ところが、「楽園とペリ」や「ゲノフェーファ」、あるいは「ゲーテの『ファウスト』からの情景」などを聴いてみますと、派手さはないけれどもその響きは充分に豊かで色彩的であり、「シューマンはオーケストレーションが下手だ」という通説が疑わしい気がしてまいります。ひょっとするとシューマンは交響曲では、意図してあのような暗色を用いたのかもしれません。 いずれにしましても、高みに飛翔する奔放な幻想と古典的な交響曲形式とが危うい均衡を保ちながら成立しているという点で、シューマンの交響曲は実にスリリングな音楽と申し上げることができましょう。
「あそびの音楽館」では、シューマンのすべての交響曲をピアノ連弾(第4交響曲の1841年版のみピアノ二重奏)に編曲してみました。 |
(2006.1.3〜2012.11.25) |