「ワルキューレ」あらすじ(5)

ヴォータンが現れ、命令に背いた罰をブリュンヒルデに下すことを宣言いたします。
その罰とは、ブリュンヒルデから神性を奪ってただの女とし、深い眠りに落としてこの岩山に無防備のまま放置し、最初に通りかかった男が彼女を自分のものにするという、誇り高いワルキューレにはとうてい耐えられない屈辱的な内容でございます。

どこの馬の骨とも知れぬ通りすがりの男の妻にならねばならぬ、というあまりにも残酷な罰にブリュンヒルデは嘆き悲しみ、自分はヴォータンの本心に忠実な行為を実行しただけだ、と哀訴いたします。
最愛の娘ブリュンヒルデの訴えにヴォータンも心を動かされ、岩山で眠らせはするが、その周囲を激しい炎で覆い、その炎を乗り越えて来る勇者だけがブリュンヒルデをわがものにできる、という罰に軽減いたします。

ヴォータンの魔力でブリュンヒルデが神性を剥奪され、自分では目覚めることのできない深い眠りに落ちますと、ヴォータンは火の神ローゲに命じてブリュンヒルデの周りに消えることのない炎の壁を築かせ、ワルキューレの筆頭にして愛する娘ブリュンヒルデに永遠の別れを告げるのでございました。


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◇「ニーベルングの指環」に戻ります◇
◇背景画像提供:フリー写真素材Canary様