ブラームス/ピアノ・ソナタ全集 (J. Brahms : The Complete Piano Sonatas) |
ピアノはブラームスにとってもっとも身近な楽器でした。したがって、ピアノ曲で作曲家としてのキャリアをスタートしていることは不思議ではございません。 それにしても、1852年から翌年にかけて、すなわち18歳頃から20歳というきわめて若い時期に書かれた3つのピアノソナタが、いずれも巨匠的な貫禄を備えておりますことは驚嘆すべきでしょう。一見まだ少年じみた風貌のブラームスが弾くハ長調の第1ソナタがシューマンに大きな衝撃を与え、この新人を絶賛する文章を書かせたのも充分に理解できます。 |
ピアノ・ソナタで出発したブラームスでしたが、20歳で書き上げた第3番を最後に、このジャンルからは手を引いてしまいます。ピアノ曲に関しては、興味の中心が変奏曲と小品に移り、ついに再びピアノ・ソナタを書くことはありませんでした。 しかしながら、ごく若い時期に書かれたこれら3つのピアノ・ソナタは、音楽史上重要な地位を占めております。
ピアノが楽器として完成され、多量の作品が生み出された19世紀という時代ですが、ベートーヴェン以降、ピアノ・ソナタの分野で大きな業績を残した作曲家は実はきわめて少数でございます。
ここでは、ブラームスの3つのピアノ・ソナタ全曲を取り上げてみました。 |
(2005.1.20〜2021.12.7/Jun-T) |