俺達は笑いを懸命に堪えながら店を後にした。
「あのバカ上司いいかげんにしろってんだよ。あそこまできっちり同じにするならよ、態度も同じにしろってんだ。」
あいつがムキになって喋るのを診たのは本当に久しぶりだった。
「でもよ、あの若い奴らも幾ら何だって情けないぜ。あれで奴らだって出世街道を目指そうとしてるんだからな。あんなんじゃ結局、ライバルを罠にはめるか、奇跡でも起きない限りは、テメエらの器量だけで這い上がって行くなんてことは考えもしないだろうな。今までずっと、腐った生き方してる大人達を見ながら散々否定し来た環境によ、適当な言い訳つけてスポイルされて行ってんだよ。」
最終電車を逃した人々が、とぼとぼとタクシー乗り場へ流れて行く。泥酔したサラリーマン風の中年が、駅前の広場にたむろった少女たちへフラフラと近づいて行く。・・・ネ、キミタチサ、オコズカイアゲルカラ、オジサントアソバナイカ? ・・・2ジカンデ3マンエンデドウ?・・・。そんなやり取りが始まっていく。・・・ふざけんなジジイ、ナメたこと言ってんと狩っちまうぞ・・・。予想外な言葉に俺達は一瞬足を止められ、「オッ」って顔で向き合った。
 「シビレたな。」
興奮気味なあいつの声から、あいつの中で「何か」が静かに燃え出したのが解った。
  「あぁ、ツチノコ発見より価値があるぜ。」
  「ワクワクしてきたな。」
  「あぁ、まだ戦える奴はいるんだな。で、俺達はどうする。」
  「走るしかねえだろ。」
  「どこへ・・・。」
  「後で考えりゃいいんだよ、そんなもんは・・・。」
ガキの頃からの「親友」だったあいつと久々の再会を果たした夜、俺達は「戦友」として再び共に、新しい朝焼けを迎えに走り出した。