■■ 再 会 ■■

「よぅ、おもしろ楽しく生きてきた割にはシケたツラしてるな。随分ストレス溜め込んでうじゃねえか。」
これがあいつと久しぶりに再会した時、俺があいつへ送った第一声だった。
「お前と会うのも、あれ以来か・・・。」
もう一年以上も前のことだ。俺達二人はガキの頃からやたらと気が合って、
しょっちゅう喧嘩しながらも、いつもくっつき合って過ごして来た。
社会に出て、それぞれ仕事勤めするようになってからも、月に一、二度は顔を
見せ合っていたんだ。そして、お互いの仕事のことや恋愛の進展、自分達や
社会の将来と色々な話題に花を咲かせながら一緒に酒を飲んでいた。
それでも、年を重ねてゆくに連れ、今まで噛み合っていたはずの、お互いの
歯車が少しずつ、ずれて来ていることに、二人とも何となく気付き始めていた
んだと思う。
俺は、変な違和感と苛立ちを感じながらあいつの話に聞き入ってた・・・。
今の世の中には、ごまかしやまやかしで偽って、矛盾やイカサマが山ほど
隠されていることは誰もが知っている。そして誰もが不満を抱いている。
もちろん俺だって、自分達の都合だけしか考えずに社会を仕切ってゆく連中に
対して、殺してやりたいくらいに不満を感じている。 
〜 政治、法律、教育、福祉、経済、流通、情報・・・、 
〜 家族、友達、仕事、自然環境、学歴、命、愛、優しさ、夢、
自分の存在、生活・・・。
現状の社会に敷かれている「全てのシステム」と、その社会の中で暮らしている人間の「価値感」がこのまま変わって行かなければ、俺達は「明るい未来なんて一生迎えられないだろう」って事も解ってる。だけど、所詮俺達は無力な一庶民でしかない。