(ジークムント、絶望的な状況に頭を抱えている)
●ジークムント●
このまま朝になれば、おれはあの男にただ黙って殺されるしかない…!
父よ、ヴェルゼよ!
あなたは、昔おれに約束してくれた。
おれが最大のピンチに立たされた時、最強の剣を与えると。
いまが最大のピンチではないのか?
ヴェルゼよ、あなたが約束してくれた剣はどこにあるんだ?
(突如、トネリコの幹の一点が光り輝く)
●ジークムント●
あれは…?
(光は急速に衰える)
●ジークムント●
あれはなんだったんだろう?
そういえば、あの女(ひと)もおれには光り輝いて見えた。
あの人に見つめられると、心臓バクバクになっちまう(*^。^*)
あの人がいなくなって、光も消えちまった…(>_<)
(ジークリンデ、足音を忍ばせてやってくる)
●ジークリンデ●
まだ起きてますか…?
●ジークムント●
あなたは…!
来てくれたのか!
●ジークリンデ●
ええ(*^_^*)
フンディングのことなら心配ないわ。
寝酒に睡眠薬を混ぜたから、涎を垂らして爆睡中よ^^
農薬があればイチコロだったんだけど^^
●ジークムント●
(^_^;)
●ジークリンデ●
冗談はともかく、この時間を、あなたは無駄にしてはいけないわ!
●ジークムント●
逃げろというのか?
だが、扉は閉ざされているし、おれは武器を持っていない…
いったいどうすればいいのか…(>_<)
●ジークリンデ●
私の話を聞いてください!
これは、とっても大切なことなの。
私には予感があったわ。
いつか、白馬の騎士が現れて、
私をこの息の詰まりそうな生活から救い出してくれるって。
もしも、あなたが私の待ち望んだ人なら…
いいえ、きっとそうに決まってる!(*^_^*)
●ジークムント●
話がよく見えないんですけど(^_^;)
●ジークリンデ●
まあ聞いてね。
結婚式の日、フンディングの一族に混じって、私は心細さでいっぱいでした。
私は子供の頃盗賊にさらわれて、貢ぎ物としてフンディングに差し出されたの。
フンディングは私の気持ちなど考えず、私を娶ることにしたの。
私は打ちひしがれて、この広間に座っていました。
そこに、ひとりの老人が入ってきました。
その老人は片目を覆うように帽子を目深に被っていた。
そしてその眼光は、ここにいた人々を怖れさせました。
ただ者ではない、って感じで。
でも、私には、なぜかその老人の眼が懐かしくて…
私にやさしく微笑みかけているように思えたの…
老人は、一振りの剣を持っていた。
そして、こう言った…
「この剣を引き抜くことのできる者だけが、これの正当な所有者である!」と。
言い終ると、老人はその剣を、トネリコの幹に柄まで深々と突き刺したの。
老人は立ち去ったけれど、私の心には老人の慈愛に満ちた微笑が焼きついていた…
長い間、何人もの男たちが剣を手に入れようとチャレンジしました。
けれど、どんな力持ちも、その剣を引き抜くどころか、
ほんのちょっと動かすことさえできなかった…
●ジークムント●
あれは、剣の光だったのか!
●ジークリンデ●
私は、あの剣を手に入れる人を待ち続けた。
あなたに出会ったとき、確信したの、私が待っていたのは、この人に違いないって!
●ジークムント●
父は、おれに1本の剣を約束してくれた。
おれに最大の危機が迫る時、最強の剣が手に入るだろうと。
●ジークリンデ●
ああ、ではやはり、あなたは…!(^O^)
●ジークムント●
あなたこそ、おれが求めていた人だったのだ!
聞いてくれ!おれのハートがバクバク叫んでるのを!\(^o^)/
(突然、鍵のかかっていたはずの扉が大きな音を立てて開く。ジークリンデ、怯えてジークムントにすがりつく)
●ジークリンデ●
きゃっ!…いったい、誰が?
(開かれた扉から、春の夜の月の光が射し込み、二人を照らす)
●ジークムント●
誰も出て行かなかったが、入って来た者がある^^
ほら、春だよ^^
春がおれたちに微笑みかけてるんだ(^^♪
(ジークムント、ジークリンデの手を取り、傍に優しく引き寄せる)
●ジークムント●
冬は去り、春が来た。
春の優しい力は世界に満ち、おれたちの恋路を邪魔する扉もその前では無力だ!
もはや、あなたとおれを隔てるものは何もない!
●ジークリンデ●
あなたこそ春!
真冬みたいな私の人生を、あなたという春が救い出してくれる!
いまようやく、私は本当の私になれるの!\(^o^)/
●ジークムント●
おまえはおれのものだ!
●ジークリンデ●
おまえですって…そう呼ばれると、なんかうれしい(*^_^*)
でも不思議ね、あなたには初めて会ったという気がしないの…
どうしてかしら?
●ジークムント●
実はおれもそうなんだ。
いつか、おまえのその愛らしい姿を見た覚えがある^^
●ジークリンデ●
川面に映った私の姿を見たことがあるの。
その姿は、あなたによく似ていた…
待って、あなたのその声…
子供の頃に聞いたことがある…
いいえ、森の中で聞いた私の声のこだまにそっくり!
そして、あなたのその瞳の輝き!
あの老人が、私に向けた優しい眼差しにそっくりなの。
私が思わず「お父さん」と呼びたくなった、あの老人の眼差しに!
あなたは本当にヴェーヴァルトという名前なの?
●ジークムント●
もうその名は必要なくなった、おまえの愛を手に入れたから^^
おれの新しい名は、おまえに決めてもらいたい^^
●ジークリンデ●
あなたはヴェルフェの一族なのね?
●ジークムント●
臆病な連中から見れば、おれたちはヴェルフェ(狼ども)に違いない。
おれの父、おまえと同じ瞳の輝きをもつ人の名は、ヴェルゼというのだ。
●ジークリンデ●
ヴェルゼ!
まちがいなく、あなたのお父様は、あなたのために最強の剣を残してくれたのよ!
愛するあなたを、私はジークムントと名づけましょう!
(ジークムント、トネリコの幹に近づき、剣の柄を握る)
●ジークムント●
ジークムントか!いい名だ!(^O^)
おれがその名にふさわしい男だってことを、この剣が証明してくれるはずだ。
剣よ、おまえをノートゥングと名づけてやろう!
さあ、ノートゥングよ、その鬱陶しい鞘を離れて、おれのものになれ!
(ジークムント、渾身の力をこめて剣を引き抜く)
●ジークムント●
見てくれ、これを婚礼の引き出物にしよう!
ヴェルズングのジークムントが、愛するおまえにプロポーズする!
ここを逃れ、はるかな土地で幸せを見つけよう!
ジークムントは命をかけて、ノートゥングでおまえを守る!
(ジークムント、ジークリンデを力強く抱きしめる)
●ジークリンデ●
あなたがジークムントなら、私はジークリンデ!
あなたは、剣とともに、あなたに憧れる妹を手に入れたのよ!(*^_^*)
●ジークムント●
おまえはおれの花嫁、そして愛しい妹だ!
われらヴェルズングの血に栄光あれ!
(ジークムント、ジークリンデを激しく抱擁する。幕)