「ラインの黄金」あらすじ(2)

一方、天上界では、神々の長ヴォータンが巨人族の兄弟、ファゾルトとファフナーに壮大なヴァルハラの城を築かせております。
ヴォータンは代償として美の女神フライアを渡すことを巨人たちに約束したのですが、本気で渡すつもりはございません。なにか他の物を与えてごまかそうとしたのですね(←神々の長だというのにセコい男でございます)。
城が出来上がっても支払いをしようとしないヴォータンに、巨人たちは怒り、違約を責めたてます(当然でございますね)。
困り果てたヴォータンは、火の神ローゲの献策に従い、地下に降りてニーベルング族の財宝を奪い取り、これを巨人たちに与えることにいたします。知らないうちに自分たちの財宝を取引の材料にされたニーベルング族こそ、いい面の皮でございます^^;

地下世界に降りたヴォータンとローゲは策略を弄してアルベリヒを捕え、天上界に連行し、脅しをかけて財宝を奪い取ります。
財宝を手放すことにはやむを得ず同意したアルベリヒですが、指環だけは渡すことを拒みます。
けれども強欲非情なヴォータンは、黄金の指環をも奪い取ってしまいますので、絶望したアルベリヒは立ち去り際に指環に恐るべき呪いをかけました。
すなわち、この指輪を持つ者は、世界支配の力を持つとともに、悲惨な死を遂げずにはいない、という呪いでございます。

契約に従い、巨人たちに築城の代償としてニーベルングの財宝を支払ったヴォータンですが、世界支配の力を持つ指環だけは渡そうとしません。が、大地の女神エルダの忠告もあり、しぶしぶながら指環を巨人たちに渡します。
するとたちまち指環の所有を巡って巨人の兄弟は争い始め、ファフナーはファゾルトを叩き殺してしまいます。早くもアルベリヒの呪いが発動したわけでございますね。

宝を独り占めして去って行くファフナーを見送る神々。ドンナーが重苦しい気分を一新しようとばかりに雨雲を呼び、雷鳴を轟かせると、フローも巨大な虹の橋をヴァルハラの城に架けます。
この壮観に気をよくしたヴォータンは、ヴァルハラと神々の栄光を讃えながら、虹の橋を渡ってヴァルハラに入城するのでございました。


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◇「ニーベルングの指環」に戻ります◇
◇背景画像提供:フリー写真素材Canary様