瀧 廉太郎/組歌「四季」
(Rentaro Taki : Vocal Suite "Four Seasons")

「花」「納涼」「月」「雪」の4曲で構成された、一種の組曲でございます。
1900年、瀧廉太郎21歳のときに出版されました。第1曲の「花」はおそらく日本人で知らない人はいないだろうというくらい有名でございます。
瀧廉太郎はこの組歌にそれまでになく大きな抱負をもって取り組んだようでございます。そのことは、出版された楽譜の作曲者自身による以下の序文を読みますと、はっきりとわかります。

「近来音楽は、著しき進歩、発達をなし、歌曲の作世に顕れたるもの少なしとせず。然れども、是等多くは通常音楽の普及伝播を旨とせる学校唱歌にして、之より程度の高きものは極めて少なし。(中略)
余は敢て其欠を補ふの任に当るに足らずと雖も、常に此事を遺憾とするが故に、これ迄研究せし結果、即我歌詞に基きて作曲したるものゝ内二三を公にし、以て此道に資する所あらんとす(後略)」

(大意)
「最近では日本でも音楽が盛んになり、歌曲もたくさん作られてはいるが、これらの多くは教育用の唱歌であって、質の高いものは非常に少ない。私はこの現状をなんとかできるほどの楽才があるわけではないが、日頃からこれではいかんと思っていたので、これまでやってきたこと、つまり日本語の歌詞に作曲したものの中からいくつかを発表して、日本音楽の発展に役立ちたいと思う」

各曲はそれぞれ演奏形態が違っておりまして、「花」は二声とピアノ、「納涼」は単声とピアノ、「月」は無伴奏の四声、「雪」は四声とオルガン、ピアノのために書かれております。
ここでは、それぞれの曲の声楽部分を独奏弦楽器を使って編曲しております。


   組歌「四季」・全曲連続再生 

   花 (Hana)  作詞/武島又次郎(武島羽衣)
   納涼 (No-Ryo)  作詞/東 くめ
   月 (Tsuki)  作詞/瀧 廉太郎
   雪 (Yuki)  作詞/中村秋香

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◇背景画像提供:フリー写真素材Canary様
◇編 曲・MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma