シベリウス/交響曲第6番 ニ調 作品104 (Jean Sibelius : Symphony No.6 in D, Op.104) | |
第6交響曲は、この作曲家の7つの交響曲の中でも、第3交響曲と並んで演奏機会に恵まれない作品と申さねばなりません。 1915年に初演され、2度の改訂を経て1919年に現在の形で完成された第5交響曲は、その雄大で豊穣な響きによって、かねてから第2交響曲に心酔していた人々はもちろん、世界中の多くの聴衆の心をつかみました。 |
ところが、第6交響曲の穏やかでことさらなドラマ性を排した簡潔な表現は、当時の聴衆の多くには、いくぶんかの戸惑いをもたらしたようでございます。
シベリウスが第6交響曲に本格的に着手したのは1914年の秋ですが、最初の構想はすでに1912年前後、第5交響曲の着手当時からあり、およそ10年間にわたって次第に形を整えられ、ようやく1923年に書き上げられました。作曲の途中では2番目のヴァイオリン協奏曲にするというような考えもあり、さまざまな紆余曲折をたどった末に、最終的に4楽章制の、外見上は伝統的な線に沿った交響曲となったのでございます。 この交響曲は従来の調性に拠らず、教会旋法のひとつ、Dを終止音とするドリア旋法に基づいております。
したがいまして、この曲を「交響曲第6番ニ短調」とするのは正しくなく、単に「交響曲第6番」または「交響曲第6番二調」と称ぶべきでございましょう。
このたび、「あそびの音楽館」では、第6交響曲を2台のピアノ用にアレンジしてみました。 |
(2012.4.26〜5.12) |