ドヴォルザーク/交響曲 第5番 ヘ長調 作品76 (Antonín Dvořák : Symphony No.5 in F major, Op.76) |
1873年から75年にかけて、ドヴォルザークは年1作の割で交響曲を書き上げます。当時オーストリア政府による若い芸術家のための奨学金が創設され、それに応募するために作曲されたものと思われます。 ヘ長調の交響曲はこれら3作中最後の作品で、1875年の7月に完成されました。ドヴォルザークの交響曲としては5番目の作品で、作曲者自身によって「交響曲ヘ長調作品24」とされております。初演は作曲から4年後の1879年のことでした。
1878年、奨学金の審査委員であったブラームスに高く評価されたドヴォルザークは、楽譜出版の大手ジムロック社から「スラヴ舞曲集」を刊行します。ジムロック社の「ブラームスの『ハンガリア舞曲集』のようなものを」という意向に沿ったものでしたが、この曲集は爆発的にヒットし、ドヴォルザークは一躍有名作曲家の仲間入りを果たします。
もはや大作曲家としての名声を確立した1887年、ドヴォルザークは若い頃に作曲した交響曲の出版を企て、第1作のハ短調を除く4曲の手稿を手許に集めると、大規模な改訂を施した後、ジムロック社に出版を依頼しました。ドヴォルザークはこれらの作品を、あくまで旧作として出版したいと考えていたのですが、ジムロック社の対応は作曲者を失望させるもので、「変ロ長調作品4」、「変ホ長調作品10」、「ニ短調作品13」の3曲はボツ、唯一「ヘ長調作品24」のみ、「交響曲第3番作品76」として出版する、というものでした。
さて、交響曲第5番についてですが、最初期のシューマン、第3・第4のワーグナーなどの影響を次第に脱し、初期交響曲の締めくくりとしては一定以上の水準を達成した作品と申し上げることはできると存じます。 さて、このたび「あそびの音楽館」では、第5交響曲のピアノ連弾版を取り上げてみました。編曲はドヴォルザーク自身の手に成るもので、お楽しみいただければ幸甚でございますm(__)m |
(2021.4.9〜4.28) |
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◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集様 | |
◇編 曲:A. ドヴォルザーク ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma |