ブルックナー/交響曲第8番 ハ短調
(Anton Bruckner : Symphony No.8 in C minor)

1884年に初演された第7交響曲の成功は、交響曲作家としては久しく不遇であったブルックナーに勇気と希望を与えました。60歳を迎えたブルックナーは、大きな自信をもって次の交響曲に取りかかり、3年後の1887年には、完成された交響曲としては生涯最大の作品となる第8交響曲を書き上げます。
Anton Bruckner ブルックナーはスコアをヘルマン・レヴィ(Hermann Levi,1839〜1900)に送って初演を依頼します。ところが、色よい返事を待っていたブルックナーの許に届いたレヴィの言葉は「演奏不可能」というものでした。
ブルックナーは大きな落胆を味わいます。が、そこで諦めてしまわないのがブルックナー。1889年から翌年にかけて大々的な改訂に取り組み、面目を一新した第8交響曲が粘り強い作業の中から生み出されたのでございます。
新装成った第8交響曲は、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に献呈され、改訂完了から2年後の1892年12月18日、ハンス・リヒター(Hans Richter, 1843〜1916年)指揮のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によって初演されました。ちなみに、初演にはブラームスも出席しております。
初演は成功し、ブルックナーは交響曲作家としての確固とした地歩を占めることになりました。しかしながら、作曲中の第9交響曲はついに完成に至らず、この遅咲きの巨匠は、4年ばかり後の1896年11月11日、72歳で没します。すなわち、完成された交響曲としては、この第8が最後の作品となったのでございます。

第8交響曲はブルックナーの11曲の交響曲中、最大規模のものでございます。とりわけ後半の第3楽章、第4楽章は大規模で、第3楽章に関していえば、ブルックナーの書いた緩徐楽章中最長のものと申してよろしいでしょう。一方、第1楽章はこの規模のブルックナーの冒頭楽章としては比較的短い部類に属し、全曲の前奏曲的な趣きがございます。また、この交響曲で、ブルックナーは初めてスケルツォを第2楽章に配置しました。これは申すまでもなくベートーヴェンの第9交響曲と同じ構成であり、この配置は続く第9でも維持されております。ちなみに第1楽章の第1主題のリズムは、ベートーヴェンの第9の第1主題前半のそれと同一でございます。意識的にか無意識的にかは断定できませんが、ブルックナーがベートーヴェンの第9交響曲から強い示唆を受けていたことはおそらく間違いないことと思われます。

1887年に書き上げられたとき、第1楽章は第1主題に基づくハ長調の壮大な終結部を持っておりました。1890年の改訂では、その部分は削除され、現在見られる衰弱する脈拍のような静かな終結に変えられております。その他、版によってある程度の異動はございますが、今日演奏される大部分の版が、1890年の改訂版に基づいていることは申すまでもございません。

「あそびの音楽館」では、この大作を2台ピアノ版で公開することにいたしました。編曲者はグルンスキー(Karl Grunsky,1871〜1943)という人で、ワーグナーやブルックナーを研究した音楽学者、批評家のようでございます。
ブルックナーの交響曲をピアノで演奏することで原曲の面白味が著しく損なわれるのはもとより承知しておりますが、万が一お楽しみいただければ幸甚でございますm(__)m


交響曲第8番ハ短調・全曲連続再生 

第1楽章/アレグロ・モデラート(I. Allegro moderato) 
第2楽章/スケルツォ:アレグロ・モデラート(II. Scherzo : Allegro moderato) 
第3楽章/アダージョ:荘厳に、遅く(III. Adagio : Feierlich langsam) 
第4楽章/フィナーレ:荘厳に、速くなく(IV. Finale : Feierlich, nicht schnell) 

◇あそびのピアノ連弾に戻ります◇
◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集
◇編 曲:K. グルンスキー ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma