ブルックナー/交響曲第7番 ホ長調 (Anton Bruckner : Symphony No.7 in E major) |
第00番といわれる習作の交響曲ヘ短調を除くと、ブルックナーは生涯に10曲の交響曲を書いております(第9は未完)。第1交響曲のあとに書かれながらも第0番とされるニ短調のものを含み、1866年から1896年まで、ほぼ30年にわたって作られたブルックナーの交響曲の中で、初演から大成功を収めた初めての曲が、この第7交響曲でございます。 |
第7交響曲は1881年に着手され、1883年に書き上げられました。その間に敬愛するワーグナーが逝去し、ブルックナーは第2楽章のコーダをワーグナーのための葬送音楽として作曲しております。 世界初演は1884年、アルトゥール・ニキシュ指揮のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によってライプツィヒ歌劇場で行われ、上述のように大成功を収めました。続いてヘルマン・レヴィが指揮したミュンヘンでの初演も大成功で、次々に各地で演奏されて好評で迎えられました。それまで長い間、作曲家としては不遇だったブルックナーも、ようやく交響曲作家としての名声を確立することができたわけでございます。 |
今日でも第7交響曲は、ブルックナーの作品中もっとも人気の高いもののひとつでございます。とはいえ、その理由の一部に、ブルックナー「らしくない」特徴が挙げられるのは少々皮肉なことでございます。 第一に、第1楽章の第1主題の流麗さ。トレモロのいわゆる「ブルックナー開始」は定番ですが、その霧のような響きを背景に立ち上がる豊かな広がりをもった長大な旋律は、他のブルックナーの冒頭楽章ではまず見られない魅力的な姿と申し上げなければなりません。第1主題ばかりでなく、この楽章では総じて主題がメロディアスで、どちらかといえばぶっきらぼうに切れ切れの動機を置いていくような傾向の強いブルックナーの冒頭楽章としては、これは異例と申してよいでしょう。 また、もうひとつ目立つのが、終楽章の短さでございます。第4、第5、第8と、巨大な終楽章をもつブルックナーの代表的交響曲と比較して、第7のフィナーレはこの作曲家にしては軽快で、構成もシンプルであり、とっつきやすい音楽となっております。 こうした点がこの交響曲を聴きやすくし、持続的な人気のひとつの理由となっているかと思われますが、同時にこの時期のブルックナーは円熟の境地に達しており、全体として極めて高い完成度をもっていることも事実でございます。
「あそびの音楽館」では、この有名作を2台ピアノ版で公開することにいたしました。編曲者はグルンスキー(Karl Grunsky,1871〜1943)という人で、ワーグナーやブルックナーを研究した音楽学者、批評家のようでございます。 |
(2018.4.18〜5.2) |
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◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集様 | |
◇編 曲:K. グルンスキー ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma |