ブルックナー/交響曲第2番 ハ短調
(Anton Bruckner : Symphony No.2 in C minor)

この作品は「交響曲第2番」となっておりますが、実際には4番目の交響曲になります。ヘ短調の習作交響曲(1863年)、第1番(1866年初稿)、第0番(1869年)の3曲に次いで、1872年に作曲されたのが第2交響曲でした。

1868年にハ短調の第1交響曲が初演されたことが弾みになり、翌1869年にブルックナーはニ短調の交響曲を書き上げます。本来、第2番になるはずのこの曲は、ウィーン・フィルの指揮者デッソフの否定的な意見に自信を失った作曲者によって封印されてしまいました。
次の交響曲が書き上げられるまでには、3年の年月が必要でした。完成した年に初演される予定だったハ短調の第2交響曲は、ウィーン・フィルの楽団員の演奏拒否によって差し戻され、ブルックナーは改訂を施します。
曲は1873年10月にブルックナー自身の指揮でウィーン・フィルによって初演されますが、結果は不評に終わります。ゲネラルパウゼ(全休止)の多用から、「休止符交響曲」と揶揄する批評もあったようです。
1876年に再演の話が持ち上がり、このときブルックナーは作品に大規模な改訂を施しました。初演時、第2楽章にスケルツォが置かれておりましたが、1876年の改訂ではスケルツォは第3楽章に移され、演奏時間も10分近く短縮されました。
今日一般に演奏されるスコアは、この1876年版が基になっております。

第2交響曲は、どちらかといえば目立たない存在のようですが、ブルックナーの交響曲系列では、初めてブルックナーらしさが全面的に表れた作品として、かなり重要な作品ではないかと思われます。
第1楽章の大型化、終楽章における第1楽章の楽想の再帰など、その後のブルックナー交響曲に通じる要素が盛り込まれ、初期交響曲としては非常に聴きごたえのある音楽となっております。

ここで取り上げておりますピアノ連弾用の編曲は、ジンガー(Otto Singer II, 1863〜1931)の手に成るものでございます。
ピアノで聴く第2交響曲、お楽しみいただければ幸甚でございます。

(2021.5.5〜5.18)

交響曲第2番 ハ短調・全曲連続再生 

第1楽章/モデラート(I. Moderato) 
第2楽章/アンダンテ:荘厳に、けれどもいくらか動きをもって 
     (II. Andante : Feierlich, doch etwas bewegt)
第3楽章/スケルツォ:適度な速さで(III. Scherzo : Mäβig bewegt) 
第4楽章/フィナーレ:非常に速く(IV. Finale : Ziemlich schnell) 

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◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集
◇編 曲:O. ジンガー ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma