あれから数日ほど経っていただろうか・・・。
俺は例のように寝息を立てた街の通りを一人、コンビニへ向かっていた。昼間は排気ガスや地下街から吹き上げてくるベトついた風がアスファルトの屑や埃を街中に巻き上げている。人々の目に映るこの街の風景には、いつも薄灰色の半透明なフィルターが掛けられているんだ。

だけど時々、深夜のこれくらいの時間になると、まるで泥水の不純物が水底に沈殿して透明度を取り戻したように・・・静かに汚れが浄化されてゆく街の中を歩いているような感覚を覚えることがある。錆び付いた街が無差別に生み捨てる、壊れたラジオのノイズに似た雑音、狂気に満ちた人々の欲望をエサにしてストリート裏に潜むジャンキー達、そして現代社会に唾を吐くような計画を、そっとひとりで企んでいる俺の汚れた手のひらや痛みを背負った傷口、亀裂の入った心までもを「地球」自らが優しく清めてくれる・・・、そんな「神聖な時間帯」に感じられる瞬間に遭遇することがあるんだ。

珍しく澄んだ星空を見上げながらコンビニへの道を歩いてゆく途中で、ふと地球が汚れたこの街のために歌う「子守歌」を聞いた気がした。