ブルースを聴きながら

妙に痩せた背中 とても薄い胸
少女のように細く折れてしまいそうな指
伸ばしっ放しの髪を軽くかきあげて
あんたの瞳はいつも輝いていたね

絶対この手で夢を掴んでやるって
吐くほど飲んだ後で いつも言っていたね
散らかしたあんたの部屋 片付けながら
あんたの夢が叶うのを いつも願っていた

汗ばんだシーツの中で語り合った
誰ももう聴くことのない ブルースを聴きながら

そして月日は流れ あたしのお腹には
とても小さな命 息をし始めた
あんたの夢は あともう一歩で叶う
スタジオに入ったまま もう二ヶ月が過ぎる

もうあんたは あたしの好きな唄を歌わない
誰ももう弾くことのない ブルースを弾きながら

あの頃と違う風が この部屋に吹く
誰ももういなくなった この部屋に鍵かけて