◇ひそやかに 作品58-2◇
〜ヴァイオリンとピアノのための〜
(1891年作/歌詞:ポール・ヴェルレーヌ/訳詩:甲斐貴也

 高い枝々のつくりなす薄ら明かりに
 静かに身を沈めて
 この深い沈黙を
 ぼくたちの恋にしみこませよう

 松やヤマモモの
 そこはかとない物憂さにつつまれながら
 ぼくたちの魂を、ぼくたちの心を
 恍惚としたぼくたちの官能を溶かしあわせよう

 きみの目を半ば閉じて
 腕を胸のうえに組んで
 まどろんだ君の心から、どんな考えも
 永久に追い払ってしまうんだ

 枯葉色の芝を波立たせながら
 きみの足元に吹いてくる
 そよ風のやさしいゆすぶりに
 ぼくたちは身をまかせていよう

 そして黒々とした樫の木々から
 おごそかに夕暮れが降りてくるとき
 ぼくたちの絶望の声かのように
 夜鳴きうぐいすが歌うことだろう

◇編曲・MIDIデータ作成:Jun-T ◇録音:jimma (2006.5.7)

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