ダンディ/フランス山人の歌による交響曲 作品25
(d'Indy : Symphonie sur un chant montagnard Français, Op.25)

フランク門下の作曲家たち、いわゆる「フランキスト」の筆頭格として知られるダンディですが、今日レパートリーとして生き残っている作品は多くありません。と申しますより、ピアノとオーケストラのための「フランス山人の歌による交響曲」が現在でも演奏される唯一の曲といっても過言ではありません。強いて挙げるならもう1曲、交響的変奏曲「イスタール」ということになるでしょうか。 Vincent d'Indy
ダンディは享年80歳と当時としては長命で、オペラや交響曲、室内楽曲など、多数の作品を残しました。ベートーヴェンとワーグナー、フランクを敬愛し、作曲家としてだけでなく教育者としての業績も大きく、20世紀初頭のフランス楽壇の重鎮と目されました。
世代的にはフォーレとドビュッシーのちょうど狭間で、壮年期に相当する1890年代の半ばから1910年代には印象派ばかりでなくリヒャルト・シュトラウスやシェーンベルク、ストラヴィンスキーなどの新しい音楽と競合するような形となり、20世紀後半には、その作品の多くはほとんど忘れられてしまいました。

そうした中で「フランス山人の交響曲」が今日でも生き残っておりますのは、この作品が旋律的な魅力をもち、重厚謹厳なダンディにしては軽快な書法で書かれていることが理由と思われます。
作曲されたのは1886年、ダンディ35歳の年でございます。形態としてはピアノ協奏曲の姿をしておりますが、わざわざ「交響曲」と名付けられておりますように、ピアノはオーケストラに溶け込んで、一般的な協奏曲のように華々しく自己主張してはおりません。
全曲は3つの楽章から成り、冒頭に現れるセヴェンヌ地方の民謡による旋律が作品を統一しております。また、フランク直伝といってもよい循環形式による書法も聴きもので、終楽章には前2楽章の循環主題が再現し、小柄ながら立派な交響曲の姿を示しております。

ここでは、この交響曲を作曲者自身による2台のピアノのための編曲でやってみました。お楽しみいただければ幸甚です。


 フランス山人の歌による交響曲 作品25・全曲連続再生 

 第1楽章/ごく遅く ― 適度な速さで(I. Assez lent - Modérément animé) 
 第2楽章/ごく穏やかに、遅すぎず(II. Assez modéré, mais sans lenteur) 
 第3楽章/生き生きと(III. Animé) 

◇あそびのピアノ連弾に戻ります◇
◇編曲:V. ダンディ ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録音:jimma