シュテファン・ゲオルゲの詩による5つの歌曲 作品4
(5 Lieder nach Gedichten von Stefan George, Op.4)

ウェーベルンは生涯におよそ100曲ほどの歌曲を残しておりますが、そのうち40曲ほどは作品番号をもたない主として初期の作品、さらに残りの60曲ほどのうちほぼ半数は室内楽または管弦楽の伴奏によるもので、ピアノ伴奏による歌曲は作品番号をもつ曲としては30曲程度でございます。これらのピアノ伴奏による作品番号をもつ歌曲は1908年頃から1934年頃まで、創作的生涯の大部分に亘って書き続けられており、ウェーベルンにとってこのジャンルが大変重要なものであったことが窺われます。

さて、作品4の「シュテファン・ゲオルゲの詩による5つの歌曲」は作品3の「『第七の環』による5つの歌曲」と同時期の作で、1908年に着手して翌年に書き上げられました。1909年は「弦楽四重奏のための5つの楽章(作品5)」や「管弦楽のための6つの小品(作品6)」が作られた年で、無調という未知の世界に踏み出したウェーベルンが、その無重力的な異空間の可能性に手応えを感じ、創作力が大きく高まった時期であることを示しております。
「シュテファン・ゲオルゲの詩による5つの歌曲」は作品3と比較しますと、1曲1曲の表現がより柔軟になっております。無調の書法を探求しながら、和声の面でもリズムの面でも、独自の小宇宙を構築しようという意気込みが感じられます。特に和声の面では、3度の和音を複調的に用いる手法がしばしば見られ、場合によっては調性的な響きをも躊躇なく用いることで、より表現力を拡大しているように思えます。

「あそびの音楽館」では、この歌曲集を独奏ヴァイオリンとピアノ伴奏という形でやってみたいと思います。そのため、声楽の部分に多少のアレンジを加えておりますことを、あらかじめご了承願いますm(__)m

歌詞につきましては、藤井宏行様の御訳を使わせていただいております。どうもありがとうございますm(__)m
また、曲の詳細につきましては、「梅丘歌曲会館・詩と音楽」に詳しい解説が掲載されております。こちらもぜひご覧になってくださいm(__)m


 シュテファン・ゲオルゲの詩による5つの歌曲 作品4・全曲連続再生 

 第1曲:序 (Eingang)  歌 詞
 第2曲:誠実な心が私に (Noch zwingt mich treue)  歌 詞
 第3曲:そうだ、きみを讃え感謝しよう (Ja Heil und Dank dir)  歌 詞
 第4曲:とても私は悲しいので (So ich traurig bin)  歌 詞
 第5曲:あなたはかまどに歩み寄った (Ihr tratet zu dem herde)  歌 詞

◇あそびのエトセトラに戻ります◇
◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集
◇編 曲・MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma