チャイコフスキー/モーツァルティアーナ 作品61 (Tchaikovsky : Mozartiana, Op.61) |
幼い頃、初めて「ドン・ジョヴァンニ」を聴いて以来、モーツァルトの音楽はチャイコフスキーにとって敬愛の対象でございました。実際いくつかの作品、「ロココの主題による変奏曲」や弦楽セレナード、さらに後年の「スペードの女王」などには、チャイコフスキーのモーツァルト愛の一端がうかがわれます。
1884年の春、「フィガロの結婚」を調べているうちに、チャイコフスキーはモーツァルトの作品をオーケストレーションした組曲を着想いたします。このときは他の作品の作曲のため、実際に着手されることはありませんでしたが、1886年になると、チャイコフスキーはモーツァルトのピアノ曲から組曲の原曲となる作品を選び、オーケストレーションの準備を始めます。しかし、このときも別の仕事が優先され、組曲の作曲は先送りされました。 「私は毎日約1時間、モーツァルトのピアノ曲のオーケストレーションに夢中になっていて、他のことを何もしていません。私の考えでは、この作品はよく吟味され、各楽章とも際立った性格をもっています。ただひとつ問題があります。それは、この組曲にどのような曲名を与えるべきかわかりかねることです。……私はこの作品を『モーツァルティアーナ』としたくはないのです。それはシューマンの『クライスレリアーナ』を連想させるので」
これに対して、ユルゲンソンは「クライスレリアーナ」についての心配は無意味であり、ぜひとも「モーツァルティアーナ」にすべきであると説得し、結局チャイコフスキーはその意見を受け入れました。 この時期までに、チャイコフスキーは管弦楽のための組曲を3曲発表しており、「モーツァルティアーナ」はこの種の作品では4番目にあたりますが、チャイコフスキー自身はこれを「組曲第4番」とはしておりません。けれども、今日では作曲家の考えとは別に、「組曲第4番」とされるのが普通でございます。
全曲は4つの楽章から構成されております。原曲はモーツァルト作曲のピアノ曲でございますが、第3楽章「祈り」のみ、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」をリストがピアノ用に編曲したものに基づいております。
第1楽章:「小さなジーグ」K. 574
ここで取り上げておりますピアノ連弾版は、ランゲル(Eduard Langer;1835〜1905)という人による編曲でございます。 | |
モーツァルティアーナ 作品61・全曲連続再生 | |
第1楽章/ジーグ(I. Gigue) | |
第2楽章/メヌエット(II. Menuetto) | |
第3楽章/祈り(III. Preghiera) | |
第4楽章/主題と変奏(IV. Tema con variazioni) | |
◇「あそびのピアノ連弾」に戻ります◇ | |
◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集様 | |
◇編 曲:E. ランゲル ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma | |