チャイコフスキー/組曲第1番 ニ短調 作品43 (Tchaikovsky : Suite No.1 in D minor, Op.43) |
1875年から1878年までの数年間は、作曲家としてのチャイコフスキーにとっては大豊作の時期でございます。 ピアノ協奏曲第1番(1875)、バレエ「白鳥の湖」、「スラヴ行進曲」、幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミーニ」、「ロココふうの主題による変奏曲」(以上、1876年)、交響曲第4番(1877年)、オペラ「エウゲニ・オネーギン」、ヴァイオリン協奏曲(以上、1878年)と、傑作・有名作が次々に生まれます。
このような、いわば「チャイコフスキーの傑作の森」の時期の最後の年である1878年の夏、チャイコフスキーはオーケストラのためのスケルツォを着想します。4分の4拍子という変則的なスケルツォですが、チャイコフスキーはこの作品の作曲に没頭し、次いでこのスケルツォをひとつの楽章とする管弦楽作品を書くことに構想を拡大いたします。
当初、チャイコフスキーはこの組曲を5楽章で構成するつもりでした。
曲は1879年12月にモスクワで初演され、第1楽章と終楽章はウケませんでしたが、その他の楽章は概ね好評で、とくに「小さな行進曲」は繰り返し演奏されるほどの成功を収めました。ユルゲンソンの勘は大当たりだったわけでございます。
さて、時は過ぎて1887年12月の終わりに、チャイコフスキーは指揮者としてドイツ演奏旅行の旅に出ます。最初の演奏会はライプツィヒでしたが、なんとこのときのプログラムは第1組曲でした。
(ゲヴァントハウスでの第1回リハーサルで)私は指揮台について、手短に、恐らく間違いだらけのドイツ語で謝辞を述べ、それから試演が始まった。(中略) | |
チャイコフスキー「ドイツ旅行の思い出」(堀内 明・訳) | |
フーガで書かれたシリアスな第1楽章を気に入り、軽妙で人懐っこい第4楽章に不満をもつというのは、いかにも謹厳実直なブラームスのイメージそのままという感じで面白いですね。
ここで取り上げておりますピアノ連弾版は、チャイコフスキー自身による編曲でございます。 | |
組曲第1番 ニ短調 作品43・全曲連続再生 | |
第1楽章/序奏とフーガ:アンダンテ・ソステヌート ― モデラート・エ・コン・アニマ (I. Introduzione e Fuga : Andante sostenuto - Moderao e con anima) | |
第2楽章/ディヴェルティメント:アレグロ・モデラート(II. Divertimento : Allegro moderato) | |
第3楽章/間奏曲:アンダンティーノ・センプリーチェ(III. Intermezzo : Andantino semplice) | |
第4楽章/小さな行進曲(IV. Marche Miniature) | |
第5楽章/スケルツォ:アレグロ・コン・モート(V. Scherzo : Allegro con moto) | |
第6楽章/ガヴォット:アレグロ(VI. Gavotte : Allegro) | |
◇「あそびのピアノ連弾」に戻ります◇ | |
◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集様 | |
◇編 曲:P. I. チャイコフスキー ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma | |