シベリウス/4つの抒情的小品 作品74
(Jean Sibelius : 4 Lyric Pieces, Op.74)

1914年、作品75の「樹の組曲」と同年の作品でございますが、両作品集の雰囲気は相当に異なっております。
「樹の組曲」があくまで平易な演奏テクニックによる一筆書きのような曲集であるのに対し、「4つの抒情的小品」の方は比較的高度の演奏技術を要し、より複雑・多様な筆致で書かれております。表現の幅も広く、バロック音楽的な対位法主体の第1曲、どこかフランス音楽的な感触の第2曲、転調の頻出する奇妙な味の第3曲、一転してゆったりしたワルツふうの第4曲まで、多面的な音楽が繰り広げられます。しかもそのすべてに、一貫して独特の時間感覚・音遣いが行き渡っており、小品とはいえさすがに円熟期のシベリウスの作品であることを納得させられます。

ポピュラーなレパートリーにはなりえないにしても、シベリウスの第3交響曲以降の作風に親しんでいる聴き手にとっては、なかなかに魅力的な曲集ではないかと思われます。

(2008.8.24〜8.27)

  1. 牧歌(Eclogue) 
  2. おだやかな西風(Soft West Wind) 
  3. 舞踏会で(At the Dance) 
  4. 古い家で(In the Old Home) 

 4つの抒情的小品 作品74・全曲連続再生 

◇「シベリウス/ピアノ作品集」に戻ります◇
◇背景画像提供:Canary様
◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma