シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調 作品47 (Jean Sibelius : Violin Concerto in D minor, Op.47) |
ベートーヴェンの大作以降、19世紀にはヴァイオリン協奏曲の代表作として、メンデルスゾーン、ブルッフ、ブラームス、チャイコフスキーなどの作品が現れましたが、20世紀のこのジャンルでもっともよく知られた曲は、シベリウスのヴァイオリン協奏曲で間違いないかと思われます。
シベリウスがヴァイオリン協奏曲を最初に着想したのは1899年、第1交響曲や「フィンランディア」を作曲した年のことでございました。この年の9月、シベリウスは妻のアイノに「ヴァイオリン協奏曲のための素敵な主題を見つけた」と語り、また、友人のアドルフ・パウルに宛てた手紙で「僕はヴァイオリン協奏曲について考え続けている」と書いています。しかし、他の作品の作曲が優先され、また知名度の高まりとともに身辺も多忙になり、ヴァイオリン協奏曲は大きな進展を見せませんでした。
シベリウスはヴァイオリン協奏曲に傑作の手ごたえを感じ、ヴィクトル・ノヴァチェクをソリストとして自身の指揮で2月8日にヘルシンキで初演しました。
〇シベリウスは型にはまった名人芸に屈していて、それが作品をだめにしている(フリーディン) 一方、ブルメスターは初演者から外されたにもかかわらず、この作品に好意を抱き「私はこれまでの経験と情熱のすべてをこの曲に捧げて、11月に演奏する」と公言しましたが、シベリウスは自作をいったん撤回することを決意します。6月にカルペランに宛た手紙で、シベリウスは「私はこの協奏曲を取り下げます。第1楽章はもちろん、他の部分も書き直さなければなりません」と書いております。
1905年の春、シベリウスはヴァイオリン協奏曲の改訂版を完成させました。この改訂版では、全曲、とりわけ第1楽章にはきわめて大きな修正が施され、多様性と引き換えに緊密な有機性が付与されました。
全曲は3楽章より成り、基本的には通常のロマン派的協奏曲の形をとっておりますが、この曲できわめて特徴的なのは第1楽章で、カデンツァが展開部の機能をもち、このような構成はそれまでの協奏曲作品にない特異なものと申さねばなりません。 ここでは、この曲を2台ピアノ用に編曲したものを掲載しております。多少なりともお楽しみいただければ幸甚でございます。 |
ヴァイオリン協奏曲ニ短調 作品47・全曲連続再生 | ||
第1楽章:アレグロ・モデラート(I. Allegro moderato) | ||
第2楽章:アダージョ・ディ・モルト(II. Adagio di molto) | ||
第3楽章:アレグロ、マ・ノン・タント(III. Allegro, ma non tanto) | ||
◇「あそびのピアノ連弾」に戻ります◇ | |
◇編曲・MIDIデータ作成:Jun-T ◇録音:jimma |