シベリウス/キュッリッキ 作品41 (Jean Sibelius : Kyllikki - Three Lyrical Pieces, Op.41) |
フィンランドの国民的叙事詩「カレワラ」とシベリウスの音楽とは切っても切り離せない関係にある、という印象がございますが、実際にシベリウスの作品表を見てみますと、少なくとも純粋な器楽作品においては、「カレワラ」を直接の題材にした作品は意外に少なく、しかもその大部分が第1交響曲以前の初期に集中していることに気づきます。 声楽を含む大規模な「クレルヴォ交響曲」で作曲家のキャリアをスタートしたシベリウスは、1895年までに「レミンカイネンとサーリの乙女」「トゥオネラの白鳥」「トゥオネラのレミンカイネン」「レミンカイネンの帰郷」の4つの交響詩から成る「四つの伝説(レミンカイネン組曲)」を書き上げますが、その後「カレワラ」に基く純粋にオーケストラのための作品としては、中期の「ポホヨラの娘」と最後期の「タピオラ」を残しているに過ぎません。これは、シベリウスが20世紀に入って、ロマン主義的国民楽派の作風から一歩離れた抽象的な歩みを進めた結果とも考えられます。
「キュッリッキ」は、「カレワラ」を直接の題材としたピアノ作品でございます。「カレワラ」との関連性のあるピアノ曲としては唯一のもので、その意味では貴重な作品と申せましょう。 さて、ここで扱われる「キュッリッキ」の物語は、大略以下のようなものでございます。
ハンサムで腕っ節も強いレミンカイネン(レンミンカイネン)は、妻が欲しくなり、求婚のためサーリの島へ出かけます。サーリでは、すべての若い女を手玉に取りますが、レミンカイネンが最終目標としていた絶世の美女キュッリッキのみは陥落いたしません。そこでレミンカイネンは、祭りで踊っていたキュッリッキを拉致し、故郷に連れ帰って強引に妻にします。
シベリウスの「キュッリッキ」は、3つの曲から成っております。
ともあれ、物語を知らなくても充分にひとつの組曲として聴き応えのあるこの曲、お楽しみいただければ幸甚でございます。 |
(2011.12.3〜12.10) |
第1曲:ラルガメンテ ― アレグロ(I. Largamente - Allegro) |
第2曲:アンダンティーノ(II. Andantino) |
第3曲:コモード(III. Commodo) |
「キュッリッキ」・全曲連続再生 |
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◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集様 |
◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma |