シベリウス/10の小品 作品24
(Jean Sibelius : 10 Pieces, Op.24)

1894年から1903年にかけて、およそ10年間に単独に書かれた曲から10曲を選んでひとつの作品番号を付けた曲集でございます。これはシベリウス29歳から38歳の期間にあたり、曲順は作曲年代に従っております。すなわち、第1曲と第2曲は1894年、第3曲〜第5曲は1895年、第6曲と第7曲は1898年、第8曲は1900年、第9曲は1901年、第10曲は1903年という具合です。
第6曲以降の5曲は、第1交響曲・第2交響曲・ヴァイオリン協奏曲など、シベリウスの世界的名声を確固たるものにした重要作の傍らで書かれていたということになります。

この時期のシベリウスは、後年の「森の隠者」といったイメージとはかけ離れておりまして、夜毎豪遊を重ねて借金で首が回らなくなるほど社交にのめり込む一方で、活動の旺盛な活火山のように次から次へと新作を発表し続けるという、きわめてエネルギッシュな人物でございました。
作風にもそれは表れており、この「10の小品」なども「小品」という割には後のこの種の作品に比べると饒舌・長大であり、感情表現も豊かでございます。

1902年頃から聴覚に異常を覚えるようになったシベリウスは、1904年にはヘルシンキを去ってヤルヴェンパーの山荘に生活の中心を移し、次第に隠者的な風貌になってまいります。作風も内省的で簡潔なものに変わっていき、それまでの19世紀ロマン派的な書法から脱皮して、真にユニークな傑作の数々を生み出すことになります。
その意味で、この作品24の10曲は、初期のシベリウスのピアノ作品の集大成と申してもよろしいかもしれません。

(2008.9.10〜10.2)

  1. 即興曲(Impromptu) 
  2. ロマンス(Romance) 
  3. カプリース(Caprice) 
  4. ワルツ(Valse) 
  5. ロマンス(Romance) 
  6. 田園詩(Idyll) 
  7. アンダンティーノ(Andantino) 
  8. 夜想曲(Nocturno) 
  9. ロマンス(Romance) 
 10. 舟歌(Barcarola) 

 10の小品 作品24・全曲連続再生 

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◇背景画像提供:Canary様
◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma