シベリウス/5つのスケッチ 作品114
(Jean Sibelius : 5 Esquisses, Op.114)

シベリウス最後のピアノ小品集となった作品114は、1929年、作曲者64歳の年の作品でございます。過去5年間に第7交響曲、「タピオラ」、劇音楽「嵐」を書き上げてオーケストラの世界に別れを告げていたシベリウスは、「5つのスケッチ」で本格的な創作的生涯を閉じたと申してよろしいでしょう。この後に書かれた作品が皆無というわけではございませんが、意義のある作曲活動は作品114で終わり、死の年の1957年まで、30年近い沈黙の時期が続くのでございます。

「5つのスケッチ」は最後の作にふさわしく、表面的な演奏効果をいっさい拭い去った簡素な筆致で書かれておりますが、そこに盛り込まれた手法には、思いのほか大胆かつ意欲的な要素が含まれ、それがシベリウス本来の詩的な味わいと相俟って、音楽に深い奥行きを与えていることは注目すべき点と申せましょう。

シベリウスのピアノ曲の中でもあまり取り上げられることのない「5つのスケッチ」、多少なりともお楽しみいただければ幸甚でございます。

(2011.8.21〜9.2)

  1. 風景(Landscape) 
  2. 冬の情景(Winter Scene) 
  3. 森の湖(Forest Lake) 
  4. 森の歌(Song in the Forest) 
  5. 春の幻(Spring Vision) 

  5つのスケッチ 作品114・全曲連続再生 

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◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集
◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma