シューベルト/交響曲第5番変ロ長調D.485
(Schubert : Symphony No.5 in B flat major, D.485)

シューベルトは16歳から20歳というとんでもなく若い数年間に、6つもの交響曲を書き上げております。しかしながら、早熟の天才シューベルトといえども、古典的大形式の交響曲ではたやすく傑作を作り出すことはできず、ハイドン、モーツァルトの路線から遠くない作品が並ぶのはやむをえないことでした。
とはいえ、1816年、自身が「悲劇的」と名付けた第4番ハ短調の出現で、シューベルトの交響曲は大きく前進いたします。
この時期、ウィーンで創作活動を行っていたベートーヴェンは第8までの交響曲を発表し、音楽史の新しいページを開いておりました。19歳のシューベルトは同じウィーン在住のベートーヴェンの音楽に以前から興味を抱いておりましたが、次第にこの巨匠の音楽に迫るような作品を書きたいという思いが強くなってきたのでしょう。第4交響曲は、明らかにベートーヴェンを意識した作品になっております。

シリアスな第4交響曲を4月に完成したあと、シューベルトは9月から10月にかけて3週間ほどで第5交響曲を書き上げます。
この曲は前作とは異なり、一見ハイドン、モーツァルトの様式に戻ったように思えますが、よく聴いてみればその古典的な佇まいの中に後年のシューベルト的な要素があちらこちらで垣間見ることができ、晴朗な曲調と相まって、たいへん魅力的な音楽になっております。
初期シューベルトの交響曲の中では、もっとも演奏機会が多いのも頷けるところでしょう。

編曲はウルリヒ(Hugo Ulrich;1822〜1872)という人の手になるもので、四手のピアノ連弾のためにアレンジされております。 ピアノで演奏された第5交響曲、お楽しみいただければ幸甚でございます。


交響曲第5番変ロ長調D.485・全曲連続再生 

第1楽章/アレグロ(I. Allegro) 
第2楽章/アンダンテ・コン・モート(II. Andante con moto) 
第3楽章/メヌエット:アレグロ・モルト(III. Menuetto : Allegro molto) 
第3楽章/フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァ―チェ(IV. Finale : Allegro vivace) 

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◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集
◇編 曲:H. ウルリヒ ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma