サン=サーンス/交響曲 第2番 イ短調 作品55
(Saint-Saëns : Symphony No.2 in A minor, Op.55)

サン=サーンスはその86年の生涯に、完成した交響曲を5曲残しておりますが、そのうちの4曲は1850年頃から1858年まで、すなわち作曲者の15歳から23歳という時期にかためて書かれております。番号の付いた第1番、第2番はこれら4曲の交響曲の2番目、4番目に相当いたしますが、いずれにしても初期の作品には違いありません。
実質的には4番目である第2番以降、サン=サーンスは交響曲というジャンルから遠ざかり、最後の交響曲で5番目にあたる第3番が書かれたのは、なんと30年ほども後の1886年のことでありました。パイプオルガンやピアノ連弾を含む壮麗な第3交響曲は、今日サン=サーンスの代表作のひとつとして親しまれておりますが、この作品の輝きが大きいだけに、初期の第1、第2はその陰に隠れて、きわめて目立たない存在となって現在に至っております。

さて、私は以前、サン=サーンスの交響曲全集というものを実家に所持しておりました。ジャン・マルティノンの指揮だったと記憶しておりますが、第3交響曲以外はまったく印象に残っておりません。そもそも、第3以外の4曲は、たぶん一度しか聴いていないと思われます。
実家を離れた現在に至っても、サン=サーンスの交響曲全集のCDを購入しようという気にならないのは、ひとえにかつて聴いた交響曲全集の印象が薄かったからでございましょう。平たくいえば、第3以外のサン=サーンスの交響曲には何の魅力も感じないということでございます。

その私がどうしてこの曲を取り上げたかと申しますと、2台ピアノにアレンジした編曲者が、なんとドビュッシーだからでございます。
ドビュッシーといえば、さまざまな批評や著書の中でサン=サーンスをけなしまくった人でございます。そのドビュッシーが、どういうわけだかサン=サーンスの曲を何曲もピアノ連弾または2台ピアノ用に編曲しているのでございます。
ちょっと調べてみますと、ドビュッシーが他の作曲家の作品をピアノに編曲した例はおよそ10曲ほどございますが、そのうち5曲がサン=サーンスの作品で占められております。編曲の年代は1889年から1890年、ドビュッシー27歳から28歳の足かけ2年に集中しており、おそらく出版社(デュラン社)からの委嘱でやっつけたアルバイトではないかと推察されますが、それにしても水と油のようなこの2人の名前が同じ楽譜に並んでおりますのは奇観でございます^^;

というわけで、普段にもまして個人的な興味だけで始めたサン=サーンスの第2交響曲のドビュッシー編曲版、面白がっていただければ望外の幸せでございますm(__)m


交響曲第2番イ短調 作品55・全曲連続再生 

第1楽章/アレグロ・マルカート ― アレグロ・アパッショナート 
       (I. Allegro marcato - Allegro appassionato) 
第2楽章/アダージョ(II. Adagio) 
第3楽章/スケルツォ:プレスト(III. Scherzo : Presto) 
第4楽章/プレスティッシモ(IV. Prestissimo) 

◇あそびのピアノ連弾に戻ります◇
◇背景画像提供:フリー写真素材Canary様
◇編曲:C. Debussy ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma