ラヴェル/弦楽四重奏曲 ヘ長調
(Raval : Quatuor à cordes en fa majeur)

19世紀の終盤から20世紀の初頭にかけて、フランスには注目すべき弦楽四重奏曲が現れました。フランク(1890年作)、ドビュッシー(1893年作)、ラヴェル(1903年作)による3曲でございます。フランクの作品は後期ロマン派の書法による大作ですが、ドビュッシーとラヴェルのものは明らかに新しい時代の音楽を志向しており、ラヴェルの曲にはドビュッシーの作品へのリスペクトも感じられます。

ラヴェルの弦楽四重奏曲は1902年から翌年にかけて作曲され、1904年に初演されてドビュッシーに絶賛されました。曲はフォーレに献呈されております。
1900年頃から「亡き王女のためのパヴァーヌ」「水の戯れ」などの作品で注目されていたラヴェルは、この弦楽四重奏曲で新進作曲家としての地位をさらに確固としたものといたしました。

曲は伝統に則って4つの楽章で構成されております。第1楽章の主要主題による循環形式の採用は、フランク、ドビュッシーの作品と同様でございます。
ドビュッシーの作品と並べて語られることの多いこの曲ですが、ドビュッシーのものが情念的・ロマン的であるのに対し、ラヴェルの作品は理知的・古典的な趣きがございます。ディオニソス的なドビュッシー、アポロ的なラヴェルと申してよろしいかもしれません。

ここではこの曲を、デラージュ(Maurice Delage;1879-1961)の手に成るピアノ連弾の演奏で掲載いたしました。
ピアノで聴くラヴェルの弦楽四重奏曲、お楽しみいただければ幸甚です。


弦楽四重奏曲 ヘ長調・全曲連続再生 

第1楽章:アレグロ・モデラート、ごく柔和に(I. Allegro moderato - Très doux) 
第2楽章:きわめて生き生きと、非常にリズミカルに(II. Assez vif, très rythmé)
第3楽章:きわめて遅く(III. Très lent) 
第4楽章:生き生きと、激しく(IV. Vif et agité) 

◇あそびのピアノ連弾に戻ります◇
◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集
◇編曲:M. デラージュ ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma