マーラー/交響曲第3番 ニ短調 (Gustav Mahler : Symphony No.3 in D minor) |
よく知られておりますように、マーラーの交響曲はどれも大規模で、演奏時間も長大でございます。ベートーヴェン以降の標準的な交響曲の演奏時間がおおむね30分〜40分であるのに対し、マーラーの場合はもっとも短い第1番や第4番でも50分前後に達します。 そのようなマーラーの交響曲の中でも、とりわけ長大なのがこの第3交響曲でございます。演奏時間はおよそ100分、前代未聞の長さを誇っております。
1892年、マーラーは民謡詩集「子供の不思議な角笛」から歌曲「天上の生活」を作曲しました。その後、第1・第2の2つの交響曲を完成・初演したマーラーは、かつての歌曲「天上の生活」を終楽章とする7楽章構成の交響曲を着想、1895年の夏休みに第2楽章から第6楽章までを一気に書き上げます。
完成後の1896年末から1897年にかけて、第3交響曲は部分的に初演されましたが、完全な全曲初演はかなり遅れて1902年になりました。この前年に第4交響曲が初演されており、これは不評に終わりましたが、第3交響曲は大成功し、これほどの大作ながら各地で演奏されて好評を博しました。 前述のように、第3交響曲は6楽章制でございますが、さらに全曲は2部に分かれております。第1楽章が第1部、第2楽章以降が第2部ですが、当初はそれぞれの楽章には、以下のような標題が付されておりました。
【第1部】
出版の際、これらは「無用の誤解を招く」との理由で削除されましたが、こうした標題から読み取れるのは、この交響曲でマーラーの方向性が第1・第2交響曲で扱われた英雄の生と死、闘争と復活というような暗→明というベートーヴェン的構図から離れ、新たなステージへと移行したということでございます。もう少し詳しく申すなら、それまでの個人的世界観から自然、さらには宇宙というようなより大きな世界観に表現が拡大されたということになるでしょう。
ここではマーラーの同時代人で編曲者として知られるヴェス(Josef Venantius Wöss:1863〜1943) の手に成るピアノ連弾用のスコアを用いました。 |
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◇編 曲:J. ヴェス ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma |