イッポリトフ=イヴァノフ/コーカサスの風景
(M. Ippolitov-Ivanov : Caucasian Sketches)

イッポリトフ=イヴァノフは19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて活動した作曲家でございます。エルガーやマーラー、ドビュッシーなどと同世代の人ですが、作風は穏健で、リムスキー=コルサコフ直系の19世紀ロシア国民楽派の路線から一歩も踏み出していないこともあり、今日では半ば忘れられた作曲家となっております。
とはいえ、初期に書いた「コーカサスの風景」だけは例外で、ほとんどこの一作によってイッポリトフ=イヴァノフは歴史に名をとどめていると申しても過言ではございません。

イッポリトフ=イヴァノフはサンクトペテルブルク郊外に生まれ、サンクトペテルブルク音楽院でリムスキー=コルサコフに師事し、卒業後の1882年、当時ロシア帝国の一地方であったグルジア(現在はジョージア)のティフリス(現在はトビリシ)に派遣され、そこで音楽学校の校長として地方の音楽振興活動に従事しました。この地で過ごしたおよそ10年間に、コーカサス地方の音楽を研究し、その成果として書かれたのが「コーカサスの風景」でございます。
1893年、チャイコフスキーの推薦でモスクワ音楽院の教授に迎えられたイッポリトフ=イヴァノフは、翌年モスクワで「コーカサスの風景」を完成し、1895年に初演しました。これは大成功裡に終わり、力を得たイッポリトフ=イヴァノフは、ただちにその続編の作曲に取りかかります。この続編はおよそ10年後に完成し、1906年に「イヴェリア」というタイトルで初演されました。これは実質的には「コーカサスの風景」第2番で、スコアにも副題としてそのように明記されております。ちなみに、「イヴェリア」はイベリア半島とは無関係で、グルジア地方の古称でございます。

 2つの組曲は、いずれも4曲から成っており、グルジアの音楽に由来するエキゾチズムがその魅力の中心になっておりますが、第1番がきわめてよく知られているのに対し、第2番はほとんど知られていないのは不思議でございます。もともと、「コーカサスの風景」は第1番に与えられたタイトルであり、第2番の方は正式名称が「イヴェリア」であるところから、「コーカサスの風景」の続編とは認識されにくいこともその理由のひとつかもしれません。しかしながら、第2番も魅力の点では第1番にひけをとっておりません。そこで、ここでは「イヴェリア」も「コーカサスの風景」の立派な後継として、ともに掲載することにいたしました。

ピアノ連弾への編曲者は2つの組曲で異なっており、第1番はランガー(Eduard Langer:1835-1905)、第2番はジラーエフ(Nikolay Sergeyevich Zhilayev:1881-1938)でございます。 多少なりとも興味をもってお聴きいただければ幸甚でございますm(__)m

          

組曲「コーカサスの風景」第1番 作品10(Caucasian Sketches, Op.10)
峡谷にて(In a Mountain Pass) 
村にて(In a Village) 
モスクにて(In a Mosque) 
酋長の行進(Procession of the Sardar) 
組曲「コーカサスの風景」第1番 作品10・全曲連続再生 

組曲「コーカサスの風景」第2番 作品42(Iveria, Op.42)
導入部:王女ケテヴァナの嘆き 
 (Introduction : Lamentation of Princess Ketevana) 
子守唄(Berceuse) 
レズギンカ(Lezghinka) 

◇あそびのピアノ連弾に戻ります◇
◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集
◇編曲:E. ランガー/N. ジラーエフ ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録音:jimma