グリーグ/ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
(Grieg : Piano Concerto in A minor, Op.16)

生涯にわたって、ピアノのための小品や歌曲を中心に作曲活動を続けたグリーグですが、初期には交響曲やピアノ・ソナタ、ヴァイオリン・ソナタなどの大規模な作品にも手を着けております。それらの中で、今日もっともよく知られているのは、なんと申してもピアノ協奏曲でございましょう。

作曲は1868年、グリーグ25歳の年ですが、初期の若書きふうの弱点らしいものはなく、その少し前に書かれたピアノ・ソナタやヴァイオリン・ソナタ第1番、交響曲ハ短調などと比較しても圧倒的に優れた音楽になっております。ただし、グリーグはこの作品を、最晩年に至るまでに何度も改訂しておりますので、その過程で未熟な部分はすべて修正され、細部まで磨きぬかれたものになったと申せるかもしれません。
グリーグはライプツィヒ音楽院に留学中、クララ・シューマンの弾くシューマンのピアノ協奏曲を聴いており、その音楽的影響についてしばしば言及されます。イ短調という調性、強いインパクトのある開始部分、第2楽章と第3楽章がアタッカで接続されていることなど、たしかに外見的に似ている点はありますが、グリーグの音楽は借り物でない北欧的としかいいようのない空気感に満ちており、完全に独自の傑作と申さなければなりません。
これはひょっとすると、創作家の生涯にごく稀に訪れる真正のインスピレーションの発露かもしれず、実際、グリーグは1880年代に2番目のピアノ協奏曲に着手しながらも、結局は挫折しております。

曲そのものはあまりに有名であるため、これ以上申し上げることはございません。
この編曲はグリーグ自身の手に成るもので、オーケストラのパートを第2ピアノに振り当てたピアノ二重奏の形になっております。
よく知られた曲ではありますが、2台のピアノによって演奏されることで、多少なりとも通常とは異なる面白味を感じ取っていただければ幸いです。


ピアノ協奏曲イ短調 作品16・全曲連続再生 

第1楽章/アレグロ・モルト・モデラート(I. Allegro molto moderato) 
第2楽章/アダージョ ― 第3楽章/アレグロ・モデラート・モルト・エ・マルカート 
    (II. A dagio - III. Allegro moderato molto e marcato)

◇「あそびのピアノ連弾」に戻ります◇
◇背景画像提供:フリー写真素材Canary様
◇編曲:E. グリーグ ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録音:jimma