ドヴォルザーク/アメリカ組曲 作品98
(Antonín Dvořák : American Suite, Op.98)

ニューヨークのナショナル音楽院院長時代の1894年3月に、ドヴォルザークはピアノのための組曲イ長調作品98を書き上げました。その約1年後の1895年2月、この組曲はオーケストレーションを施され、作品98bの作品番号を与えられました。
これが通称「アメリカ組曲」といわれるもので、この曲名は作品39の「チェコ組曲」に対応して名付けられたものと思われます。
ところが、ピアノの原曲は作曲後まもなくジムロック社から出版されましたが、管弦楽版は出版どころか初演すらされず、ようやく演奏されたのはドヴォルザーク没後のことでした。どういう事情でこうなったのかは存じませんが、今日ではこの曲は、ピアノのための原曲よりも管弦楽版の方がよく知られていると思われます。

全曲は5つの楽章から構成されております。
この時期のドヴォルザークの作品らしく、アメリカ的な要素が見受けられますが、同時期の有名作である「新世界交響曲」や「アメリカ四重奏曲」、チェロ協奏曲などに比較しますと、ポピュラリティでははるかに劣っておりますことは否めません。
とはいえ、やはりドヴォルザークの作品らしく、チャーミングな魅力は随所に散りばめられておりますので、気軽に楽しむには悪くない曲なのではないかと愚考いたします。


アメリカ組曲 作品98・全曲連続再生 

第1楽章/モデラート(I. Moderato) 
第2楽章/モルト・ヴィヴァーチェ(II. Molto vivace) 
第3楽章/アレグレット(III. Allegretto) 
第4楽章/アンダンテ(IV. Andante) 
第5楽章/アレグロ(V. Allegro) 

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◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma