前奏曲集・第1巻
(Préludes, Livre I)

1905年の「海」で作曲家として中期作品の頂点を築き上げたドビュッシーにとって、1909年から13年にかけて作曲された2巻の「前奏曲集」は、この作曲家の後期作品の頂点というだけでなく、20世紀ピアノ音楽史上の金字塔のひとつとなりました。
バッハの「平均律クラヴィーア曲集」やショパンの「24の前奏曲」に範をとって全24曲から成るドビュッシーの2巻の「前奏曲集」ですが、先行者の場合のように24の調性に拠るのではなく、様々な手法を駆使してピアノ音楽の表現領域を拡張したユニークな曲集となっております。

「前奏曲集」の第1巻は1909年から1910年にかけて集中的に書かれ、「亜麻色の髪の乙女」や「沈める寺」のような、一般にもよく知られた作品が含まれております。
各曲にはドビュッシーらしい詩的・高踏的な題名が付されておりますが、通例とは異なり、これらの曲名は楽譜の冒頭でなく、曲の最後に控え目に書き込まれております。これは、表題音楽的に聴かれることを避けるためのドビュッシーの工夫なのかもしれません。

(2021.6.12〜7.19)

前奏曲集・第1巻/全曲連続再生 

第1曲:デルフォイの舞姫たち(I. Danseuses de Delphes) 
第2曲:帆(II. Voiles) 
第3曲:野を渡る風(III. Le vent dans la plaine) 
第4曲:夕べの大気に漂う音と香り 
   (IV. Les sons et les parfums tournent dans l'air du soir) 
第5曲:アナカプリの丘(V. Les collines d'Anacapri) 
第6曲:雪の上の足跡(VI. Des pas sur la neige) 
第7曲:西風の見たもの(VII. Ce qu'a vu le vent d'ouest) 
第8曲:亜麻色の髪の乙女(VIII. La fille aux cheveux de lin) 
第9曲:とだえたセレナーデ(IX. La sérénade interrompue) 
第10曲:沈める寺(X. La cathédrale engloutie) 
第11曲:パックの踊り(XI. La danse de Puck) 
第12曲:ミンストレル(XII. Minstrels) 

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◇背景画像提供:フリー写真素材Canary様
◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma