チャイコフスキー/子供のアルバム 作品39
(P.I.Tchaikovsky : Children's Album, Op39)

1877年の5月、チャイコフスキーは当時教鞭をとっていたモスクワ音楽院の教え子アントニーナ・ミリューコヴァからの熱烈な求愛を受け容れ、7月には交際2ヶ月でスピード結婚をいたします。よく知られておりますように、この結婚は大失敗でございまして、9月にはもう妻から逃げ出す有様でございました。
ちょうどこの時期、資産家のフォン・メック夫人から生活資金援助の申し出があり、地獄に仏を見た思いのチャイコフスキーは友人に離婚手続きを委託し、音楽院には長期休暇の申請をしてイタリアに旅立ちます。
フィレンツェに滞在したチャイコフスキーは、街角で流しをしている少年歌手ヴィットリオの歌声と容姿に惹かれ、この少年の歌うメロディを採譜したりしました。このときメモした旋律から、いくつかの作品が着想されました。「子供のアルバム」も、その中のひとつでございます。
翌1878年2月にはスイスに移り、ここで名高いヴァイオリン協奏曲を書き上げます。4月にはロシアに戻り、妹アレクサンドラの嫁ぎ先カメンカに滞在します。「子供のアルバム」は、ここカメンカで作曲されました。

チャイコフスキーは甥のウラディーミルをたいへん愛しており、妹一家のあたたかい雰囲気の中で、長い間忘れていた家庭的な幸福感を味わったようでございます。シューマンの同名の作品に対するオマージュとして作られたチャイコフスキーのこの曲は、そのようなひとときの安らぎの感情を反映した24の小品から成り立っております。
なお、この曲は甥のウラディーミル・ダヴィドフに献呈されております。


 「子供のアルバム」・全曲連続再生 

 第1曲:朝の祈り (Morming Prayer) 
 第2曲:冬の朝 (A Winter Morning) 
 第3曲:木馬に乗って (The Hobby-Horse) 
 第4曲:ママ (Mama) 
 第5曲:おもちゃの兵隊の行進 (March of the Wooden Soldiers) 
 第6曲:病気のお人形 (The Sick Doll) 
 第7曲:お人形のお葬式 (The Doll's Funeral) 
 第8曲:ワルツ (Waltz) 
 第9曲:新しいお人形 (The New Doll) 
 第10曲:マズルカ (Mazurka) 
 第11曲:ロシアの歌 (A Russian Song) 
 第12曲:ガルモシュカを弾く農夫 (Peasant Playing an Accordion) 
 第13曲:カマリンスカヤ (Kamarinskaya) 
 第14曲:ポルカ (Polka) 
 第15曲:イタリアの歌 (Italian Air) 
 第16曲:古いフランスの調べ (Old French Melody) 
 第17曲:ドイツの歌 (German Air) 
 第18曲:ナポリの歌 (Neapolitan Air) 
 第19曲:ばあやのお話 (The Old Nurse's Tale) 
 第20曲:バーバ・ヤーガ (Baba-Yaga) 
 第21曲:甘い夢 (Sweet Reverie) 
 第22曲:ひばりの歌 (Song of the Lark) 
 第23曲:手まわしオルガン弾きは歌う(The Organ-Glinder Sings) 
 第24曲:教会にて(In Church) 

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◇背景画像提供:フリー写真素材Canary様
◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma