クララ・シューマン/3つの前奏曲とフーガ 作品16
(Clara Schumann : Drei Präludien und Fügen, Op.16)

1845年、シューマン一家は住み慣れたライプツィを離れ、気候のよいドレスデンに引っ越しました。一家の主人ローベルトが健康を害し、転地療養の必要性に迫られたためですが、移住早々ローベルトは対位法の研究に熱中し、妻のクララもそれに付き合うことになりました。もっとも、精神安定のために、クララの方からローベルトに対位法の研究を奨めたという話もございます。
Clara Schumann というわけで、この時期シューマン夫妻は競うようにして対位法的な作品を生み出しているのですが、ここに取り上げましたクララの「3つの前奏曲とフーガ」も、その研究成果のひとつでございます。
クララの作曲した中からローベルトが3曲を選び、ブライトコップフ・ウント・ヘルテル社に出版を依頼しました。
ローベルトはクララの誕生日までに出版する計画だったようで、このあたり、結婚後5年を経ても変わらないローベルトのクララへの細やかな愛情が感じられ、微笑ましい限りでございます^^

クララは十代の半ばでピアノ協奏曲を作曲するなど、単にピアニストとしてだけでなく、作曲の才能も見せておりましたが、この「3つの前奏曲とフーガ」にも、その並々ならぬ才能の片鱗が覗えるのではないかと存じます。

どの曲も、バッハの作品をお手本にしながらも、ロマン派的な豊かな感情表現に彩られ、しかも羽目を外すことなく端正な佇まいをもっている点、クララの人柄がそのまま表れているような魅力的な音楽になっているのではないでしょうか?

 第1の前奏曲とフーガ ト短調(Präludium I und Fuge I, g-moll) 
 第2の前奏曲とフーガ 変ロ長調(Präludium II und Fuge II, B-dur) 
 第3の前奏曲とフーガ ニ短調(Präludium III und Fuge III, d-moll) 

 3つの前奏曲とフーガ 作品16・全曲連続再生 

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◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集
◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma