ブルッフ/スコットランド幻想曲 作品46 (Max Bruch : Schottische Fantasie, Op.46) |
19世紀後半の大ヴァイオリニスト、サラサーテ(Pablo de Sarasate;1844〜1908)の演奏に触発されたブルッフは、1879年から翌年にかけて、ヴァイオリン協奏曲の形態をとった幻想曲を作曲しました。原題は「スコットランド民謡の旋律を自由に用いた、管弦楽とハープを伴ったヴァイオリンのための幻想曲」という長いものでございます。 曲はサラサーテに献呈されましたが、初演はヨアヒム(Joseph Joachim;1831〜1907)の独奏、ブルッフ自身の指揮で、リヴァプールで行われました。ちなみにこのとき、ブルッフはロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任早々で、スコットランド民謡を素材にした作曲は、英国に対する多少の忖度もあったかもしれません。 初演は好評をもって迎えられましたが、その後演奏機会は減り、この曲が有名になるのは第2次世界大戦後の話でございました。
ブルッフはブラームスの同時代人で、19世紀後半のドイツ楽壇では大家としての名声を享受しておりました。3つの交響曲(第1交響曲はブラームスに献呈されております)、3つのヴァイオリン協奏曲、室内楽、オペラ、オラトリオなど多数の作品を残しましたが、没後その名声は急速に失墜し、今日ではヴァイオリン協奏曲第1番、「スコットランド幻想曲」、チェロと管弦楽のための「コル・ニドライ」のような限られた作品で知られているにすぎません。
「ブラームスが亡くなって10年経つが、今でも多くの中傷者がおり、その中には一流の音楽家や批評家さえ含まれる。しかし予言するが、時が経てば経つほど彼はさらに評価されるようになり、私の作品のほとんどは顧みられなくなるだろう。今から50年後、彼は歴史上最高の大作曲家の一人として浮かび上がり、一方私は、主にあの『ト短調ヴァイオリン協奏曲』を書いたということが思い出されるに過ぎない」
さて、「スコットランド幻想曲」は序章と4つの楽章から構成されております。
ここでは、この作品をピアノ連弾の形に編曲してみました。多少なりともお楽しみいただければ幸甚でございます。
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