弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 作品18(弦楽合奏版)
(String Sextet in B flat major, Op.18 for String Ensemble)

オペラやオーケストラ曲、歌曲やピアノ曲の分野で色とりどりの作品が咲き誇った19世紀ロマン派音楽の中で、室内楽の分野だけは他のジャンルに比べて実りが少ないような気がいたします。
室内楽の中核である弦楽四重奏曲がハイドン、モーツァルト、そして何よりもベートーヴェンによって極め尽くされた感のあること、芸術音楽が古典派時代の貴族の楽しみから、中産階級をはじめとする一般大衆に広く開かれたものになったこと、オーケストラやピアノなどの楽器と技術が改良され、室内楽では得られない多彩な表現力を獲得したこと等々、さまざまな理由によって、ロマン派の室内楽は概ね不振であったと申せましょう。

そのような時代の中で、ブラームスは屈指の室内楽作曲家でございました。室内楽に力を入れた作曲家には、たとえばドヴォルザークなどがおりますが、数多くの作品を残し、しかもそれらの中に駄作が1曲もない、ということでは、後年のフォーレを除き、ブラームスに並ぶ人はほとんどいないのではないでしょうか?

さて、ブラームスは弦楽六重奏曲を2曲作っておりますが、これらはいずれも20代後半から30代初めにかけて、比較的初期の作品に属します。
第1番変ロ長調は1860年、ブラームス27歳の年に作曲されました。この作品は全曲にわたり、青春の息吹を思わせる伸びやかで生き生きとした楽想に満ちておりまして、ブラームスの室内楽曲の中でも、とりわけ親しみやすい曲のひとつでございます。特に第2楽章の主題と変奏はブラームス自身も気に入っていたようで、のちにピアノ独奏用に編曲し、敬愛するクララ・シューマンに献呈しております。

「あそびの音楽館」では、この曲を弦楽合奏で演奏しております。編曲につきましては、六重奏を弦楽五部に割り当てるため、重複音の整理や担当楽器の変更など、原曲にかなり大幅に手を加えておりますことをご了承願います。

※曲はすべてMP3でお楽しみいただけます。


弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 作品18(全曲連続再生) 

第1楽章/アレグロ・マ・ノン・トロッポ(I. Allegro ma non troppo) 
第2楽章/アンダンテ、マ・モデラート(II. Andante, ma moderato) 
第3楽章/スケルツォ:アレグロ・モルト(III. Scherzo : Allegro molto) 
第4楽章/ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ(IV. Poco allegretto e grazioso) 

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◇背景画像提供:フリー写真素材Canary様
◇編 曲・MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma