ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
(Beethoven : Violin Concerto in D major, Op.61)

この作品はベートーヴェン唯一のヴァイオリン協奏曲ですが、このジャンルの最高傑作のひとつでございます。
1806年に完成され、同年に初演されておりますが、この時期のベートーヴェンの作らしく、空前の大作となっております。
初演は成功しましたが、その後は次第に忘れられ、1850年代の初めにヨーゼフ・ヨアヒムが積極的に取り上げるまでは一般にあまり知られてはおりませんでした。ちなみに、ヨアヒムの演奏でこの作品を聴いたシューマンは大きな感銘を受け、霊感を得て自らもヴァイオリン協奏曲を書き上げました。

さて、全曲は3つの楽章で構成されております。
第1楽章は冒頭に現れる4つの同音反復によるリズムが重要な構成要素となっており、長大ながらきわめて緊密な書法で貫かれております。
第2楽章は変奏曲、第3楽章はロンドで書かれ、この2つの楽章が切れ目なく連続しているのは第4ピアノ協奏曲や第5交響曲、ラズモフスキー四重奏曲などにも見られるベートーヴェンの特徴のひとつでございます。

ここで扱っておりますスコアは、ウルリヒ(Hugo Ulrich;1822〜1872)の手に成るピアノ連弾版に拠っております。この種の編曲では独奏楽器とピアノ伴奏の形にアレンジされるのが普通ですが、完全にピアノ連弾用に書き改めているのは面白い試みと思われます。
ピアノ連弾で演奏されたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、お楽しみいただければ幸甚です。


ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61・全曲連続再生 

第1楽章/アレグロ・マ・ノン・トロッポ(I. Allegro ma non troppo) 
第2楽章/ラルゲット〜第3楽章/ロンド:アレグロ(II.Larghetto - III. Rondo : Allegro) 

◇「あそびのピアノ連弾」に戻ります◇◇
◇編曲:H.ウルリヒ ◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録音:jimma