バルトーク/ピアノ・ソナタ
(Béla Bartók : Piano Sonata)

1926年はバルトークの「ピアノの年」といわれます。この年、45歳のバルトークはピアノ協奏曲第1番をはじめとして、「戸外にて」、「9つの小品」そしてピアノ・ソナタと、ピアノのための作品を集中的に書きました。
これらのうち最大のものは申すまでもなく第1ピアノ協奏曲ですが、6月から8月にかけて作曲されたバルトーク唯一のピアノ・ソナタもまた、この時期を代表する作品でございます。

民族的な要素と絶対音楽の論理を融合させ、独自の高みに至るバルトークの歩みの中で、1920年代はもっとも先鋭な作風の時期と申せますが、ピアノ・ソナタもその例外ではありません。
打楽器的な奏法、房状のクラスター的な不協和音の多用、民謡由来の独特な旋律法と対位法の併用など、意欲的な試みに満ちたピアノ・ソナタでございます。
3つの楽章から成り、ソナタ形式の第1楽章、3部形式の第2楽章、ロンド形式の終楽章と、外見的には伝統的な構成をとっておりますが、そこに盛り込まれた音楽はいかにもバルトークらしい知性を備えた野性といった趣きをもっております。
ちなみに、無調に対して否定的なバルトークは、この曲を「ホ長調のソナタ」と呼んだそうですが、各楽章はホ、ハ、ホを中心音としており、「ホ長調」というのはどうかと思いますが、「ホ調のソナタ」には間違いございません。


ピアノ・ソナタ・全曲連続再生 

第1楽章:アレグロ・モデラート(I. Allegro moderato) 
第2楽章:ソステヌート・エ・ペザンテ(II. Sostenuto e pesante) 
第3楽章:アレグロ・モルト(III. Allegro molto) 

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◇背景画像提供:自然いっぱいの素材集
◇MIDIデータ作成:Jun-T ◇録 音:jimma