◇戦いの起こった国へ◇
〜ヴァイオリンとピアノのための〜
(1869-70年頃作/歌詞:テオフィル・ゴーティエ/訳詩:藤井宏行

 戦いの起こった国へ
 私の素敵なあのひとは行ってしまった
 私の寂しい心には
 私ひとり残されて他には何もない
 別れるときのさよならのくちづけで
 あのひとは私の魂をくちびるから奪っていった
 なぜこんなにあの人は戦場に長くいるの、神様?
 ほら、また沈んでいくお日様を見つめながら
 私はひとり、塔の上に立ち
 あの人が戻ってくるのを待っている

 屋根の上のハトは啼く
 愛らしく啼いている
 悲しげに心に響く声で
 大きな柳の木の下で川は流れ
 私の涙も、もう少しで流れそう
 ユリの花のような私の心も咲いて
 もう望みもないと感じてきている
 ほら、白い月が輝いている
 私はひとり、塔の上に立ち
 あの人が戻ってくるのを待っている

 だれかが塔の階段を昇ってくる
 あれは愛しい人かしら
 あの人じゃない、あれは
 私のランプを持ってきた召使よ
 夕暮れの風よ、吹いて、そして伝えて
 あの人は私の心、私の夢
 私の喜び、そして私の気掛かりだと
 ほら、朝焼けが広がってきた
 私はひとり、塔の上に立ち
 あの人が戻ってくるのを待っている

◇編曲・MIDIデータ作成:Jun-T ◇録音:jimma (2006.8.13)

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