「ワルキューレ」あらすじ(1)

月日は百代の過客にして、行き交う年も流れまくり、ニーベルングの財宝を独り占めしたファフナーは巨大な蛇に変身して森の洞窟の中で宝を守っております。
一方、ヴォータンはアルベリヒが指環を取り返して復讐の軍勢とともに天上界に攻め上ってくるのを恐れ、9人のワルキューレを生み、彼女たちに地上の英雄たちをスカウトさせてヴァルハラに集め、防衛軍を編成しようとしております。
アルベリヒは指環をなんとかして取り戻し、力を得て神々を滅ぼしたいものだと考えておりますが、大蛇のファフナーには手が出せません。
いわば、三すくみの状況になっているわけでございますね。

さて、ヴォータンは英雄たちのヘッド・ハンティングの他に、別なプロジェクトも立ち上げておりました。それは自らの自由意志で指環を奪取し、神々を滅亡から救うひとりの英雄を生み出す、という計画でございます。
重要なのは「自由意志」という点でございまして、その英雄はヴォータンの意志で行動してはならないのです。
なぜそんなことが重要かと申しますと、ヴォータンは契約の神でもございまして、自ら結んだ契約で他人に手渡した指環を、契約を破って取り上げることはできないのでございますね。では、アルベリヒから財宝を巻き上げるのはどうなのか、という話になりますが、これは別にアルベリヒと契約を結んだわけではございませんので強奪も勝手次第、ということのようでございます。
ともかくヴォータンは、契約に縛られた自分の手先としてでなく、本人の自由意志で指環を手に入れ、その力を神々を救うために使ってくれるような英雄を誕生させようという、虫のいい計画を立案したわけでございます。


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◇「ニーベルングの指環」に戻ります◇
◇背景画像提供:フリー写真素材Canary様